太陽の光
温かい日差しが僕らを照らす。
眩しそうに目を瞑ると、暗闇の中で唇に柔らかい感触を感じた。
何だ、と僕はぱっちりと目を開けた。
そして映ったのは、意地悪そうに笑う
雅の顔。
「隙有りすぎですよ」
クスッという笑みを零す雅。
僕はとっても顔が熱くなった。
きっとこれは日差しのせいだ!
と思いながら、雅にばーか!! と言い、顔を背けた。
雅はクスクスと言う笑みを絶やすことなく僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
本当に雅は意地悪だ。
でも。
やっぱり雅は優しい。
だっていっつも意地悪をするけど、それは僕に幸せを与えてくれる意地悪しかしないから。
「ふん、もう雅なんか知らない!」
それでも僕は素直になれなくて雅にツンツンとした態度を取ってしまう。
雅はどうしてこんな可愛くない僕を愛してくれるんだろう、なんて考えることもあるくらいに。
だけど雅は、毎日毎日飽きるほどに僕に愛をくれるから。
僕は安心して雅を愛せるんだ。
「やっぱり
蘭は可愛いですね」
一応断っておくが、ここは外であり太陽さんがこんにちは、と顔を出している。
そんな中で僕の恋人はなんの
躊躇いもなく僕を抱きしめた。
僕は、誰かに見られたらヤバイって! と雅から離れようとするも雅のがっちりとした体格に適うはずもなく僕の抵抗は何の意味も示さなかった。
まぁ、ぶっちゃけ誰かに見られたらと言うよりも、ただ恥ずかしかっただけなんだけど……
「蘭の嘘つき。嬉しいくせに」
そう耳元で囁かれた瞬間、僕の唇は再び雅の温もりに支配された。
「……っ、み、みやび!!」
自らの本心を見破られた事実と贈られたキスに対する羞恥のせいで僕の顔は真っ赤に染まって、目には薄らと涙が浮かんでいた。
雅はやっぱりクスッと笑い、さぁ行きますよ? と清々しい顔をして僕の手を引いて歩きだした。
僕は
腑に落ちなかったけど、雅に適うはずなど微塵もなく雅に抵抗することを諦め雅に付いて歩いた。
そして、少し歩いた瞬間雅が僕の方に顔を向け頭に僕より少し大きな手をぽん、と置き一言呟いた。
僕はその言葉に笑顔を返し、雅と同じ言葉を雅に返した。
空に照り続ける太陽の光と同じくらい、僕らの繋がった両手は輝かしい光を放っていた。
「ずっと、俺の傍で笑ってて下さいね」
End
write 10/03/15