still
まだ…………
まだ…………
「好きなんだよ…ばか
拡……」
涙で霞んだその言葉は、大きな月と輝く星に届いただけだった
一人の人を想い続けるほど苦しい事はないかもしれない
「
悠も拡から目を反らして他の人見ればいーじゃん」
「んー…そうなんだけどさ」
「出来ないんだよね」
私の身体は、心は
あいつしか認めないんだよ
拡以外の人を何度愛そうとしても
その人と拡を比べるばかりで、あいつへの想いが彼を愛せなくする
一緒に笑い合ってる時も
二人でデートしてる時も
毎晩電話してる時ですら
これが拡だったら……
なんて考えるばかり
キスをしようにもそれは不可能
身体があいつ以外の温もりを
拒否するかのように
吐き気を催すから…………
「なんでそんなに拡がいいの?」
そんな事
「分かんない……」
ただ、ただ求めるから
私自身、というよりも私の魂があいつを求めるから
理由なんて必要ないんだよ
ただ
私は拡が好き
それだけなんだから
「もし、一生拡の事忘れらんなくて、恋愛出来なかったら……
悠、独り身だよ?いいの?」
「そりゃ、多少は妥協してでも結婚はしたいよ?でもね、」
「多分生活出来ないと思う」
あいつと彼を比べてばかりの毎日で、最初は愛が合っても
きっとその愛は冷めちゃうと思うから
だから
だからね
「もう独り身でもいーかなって」
「まぁ、一番はあいつを越える男が出て来てくれる事だけどね」
忘れようなんて思わない
私は拡を愛せた事を
後悔なんてしてないから
ただ叶わなかっただけ
私は一生背負っていくよ
あんたへの愛を背負ったまま
すでに6年経ったんだ
もうここまで来たら意地かもね
拡、覚えてて
私は
悠は、ずっと待ってるから
あんたが悠を優しく抱き締めてくれるのを
「どこにも行く所がなくなったら一つの場所を思い出して」
綺麗に光る夜の天使たちに
想いを預ける
「あんたが来たら、無言で抱き締めてあげるから」
長年の想い人へと
届けてくれる事を信じて
End
write 10/03/19