小悪魔降臨
「ねぇ、(ひろ)も手伝ってよ!」 「は? なんでこの俺がお前の為なんかに動かなきゃなんねぇんだよ。  この同居だってお前が一緒に住みたいって言うから一緒に住んでやっただけで俺の意思じゃないんだからな」 先週でやっと高校も卒業という事で、俺は恋人の宏(20歳)の家に同居する事になった。 そして今、その引っ越しの荷物を片づけてる最中なんだけども…… 「なんだよ!  確かに俺が宏と一緒に住みたいって言ったけどさ、宏だって俺が一緒に住んでいい?って聞いたとき嬉しそうにしてたじゃん!!」 「は、そんなの覚えてないね」 一度もこっちを見ずに呑気にTVを見ている宏に、俺は腹が立ち手にしている荷物を一旦置き宏の前に立ちはだかった。 「美哉(みや)、そこに居られるとTVが見えねぇんだけど?」 「うん、別にいいじゃん? だって今から宏は……」 俺といいことするんだから。 そう耳元で呟いてやると、予想通り、宏の顔は真っ赤に染まった。 「あれ? 宏、顔が赤いよ?」 どーしたの? とわざとらしく首をかしげ問うと宏は赤い顔を隠そうとふいっと後ろに顔を背け赤くなんてなってねーよ!と言葉を吐いた。 俺はそんな宏をさらにいじめてやりたくなって、ぎゅっと宏に抱きついた。 「ちょ、おい、美哉!」 「んー? 何、ひろ?」 俺を引きはがそうとしている宏に構わず俺は唇を宏の首に当てた。 宏は一瞬体をビクッとさせ、俺の名前を呟いた。 「宏? 俺といいこと……したいでしょ?」 その言葉を聞くとさらに宏の顔は赤染まった。 「この、馬鹿がっ…盛ってんじゃねぇよ!!」 宏の言葉を聞いた瞬間、俺は勝った!と思った。 「宏、何言ってんの?」 「……は、?」 「いいことって、荷物の片付けの事なんだけど……勘違いしちゃった?」 ふふ、と笑いながら宏に言うと宏の顔はもうこれ以上染まりようもないほど赤になり、口をパクパクさせていた。 俺はそんな宏の顔が見れて満足になり、ざまーみろ♪と小さく宏の唇にキスを落とし荷物の元へと足を運ばせた。 「て、てめぇ美哉!! ふ、ふ、ふざけんなよぉぉ!!!」 それからすぐに、お隣の岡本さんから「うるさい!」と怒鳴られたのは言うまでもない(笑) End
write 10/03/04