hearty kiss
仙田千世(せんだちよ)。それが私の名前。 高橋彰(たかはしあきら)。それが彼の名前。 「千世、あぶないよ?」 その声に、前を見てみれば信号が赤になっていた。 千世はおっちょこちょいだから、気が気じゃないよ。 なんて、私の手をそっと繋いだ彰くん。 その横顔は少し赤くなっていて、私はとても安心した。 彰くんと繋がったままの私の左手から伝わってくるのは、彰くんの体温。 それは、とても暖かくて……私は、立ち止まった。 「千世? どうしたの?」 彰くんは私の方に顔を向け、少し首を傾げてみせた。 男の子とは思えないくらいの可愛さに、私は小さく笑った。 「彰くんはね、私を大切にしてくれてるの」 「彰くんはね、私を本当に愛してくれてるの」 私はその言葉の続きに彰くんへと近づき、一言を放った。 「千世はね、彰くんが大好きなのです」 彰くんは、顔を真っ赤にして私を優しく抱きしめた。 「千世のバーカ」 「彰くんのバーカ」 ――ふふ、バーカだって。 二人で抱きしめ合ったままで笑いあう。 再び歩み始めた私たちの間に隙間はなく、暖かい温もりで繋がれていた。 「千世のバーカ」 「彰くんのバーカ」 また、笑いあう私たち。 とても幸せな空間。 きっとそれはいつまでも続く。 「千世のバーカバーカ」 「彰くんの」 とても暖かなキスをくれる彰くんと一緒なら、私はずっと幸せでいられるから。 「だーいすき」 End
write 10/11/28