「あー、だりぃ」
俺はT高校二年の
船岡弥生。
名前が女っぽいっつーのはスルーの方向でよろしく。
今は俺の嫌いな数学も終わりやっとの事で昼飯なんだが……
身体がダルくてやってらんねぇ状況。
「わりぃ、俺ちょい保健室行ってくるわ」
「おー、途中階段で転けて死んでこいや」
くだらん事を言うこいつは
悠河。
本当、こいつが死んでしまえばいいのにというくらいウザイ悪友だ。
「あー、37.6℃あるね……どうする? 帰る?」
案の定熱計ったら37.6℃って……
そりゃ身体もダルいわなぁ。
帰りてぇけど、今日部活の先輩が肉まん奢ってくれるって言ってたし。
「いや、ちょい寝かせて貰っていいっすか?部活には出たいんで」
「寝るのはいいけど、部活で無理したらダメよ?」
って事で、とりあえず寝る事にした俺は、保健室で寝るとか初めてかもしんねぇとか考えながら悠河にメールを送信。
すると1分も経たないうちに返信がきた。
無駄に速いな、と胸中で思いメールを読むと……俺の身体は寒気で震え上がった。
『えー!ずりぃ、俺も寝たい!弥生と同じベッドで弥生の
Cuteな寝顔を見ながら俺も寝たい!』
※注意:悠河は男です←
あー、後であいつぶっ殺す……
俺は悠河からの気色悪いメールは即刻削除して、死ねと愛を
綴った文を送ってやった。
なんて優しいんだ俺は。
にしても、
あー……だりぃけど、暇だ。
ベッドに入ったからってすぐに寝れるわけじゃねーしな……
ここはあれだな。
俺の特技で時間を潰すしかないか。
じゃあ今回は……
今の状況を型取って看病に来てくれる彼女って設定で。
ではでは、船岡弥生の妄想劇!
始まり始まり〜!
<タイプ1>
[優しいけど実は腹黒少女
千鶴]
「弥生くーん、来たよ」
「おー、千鶴……サンキューな」
彼女の千鶴は学校が終わり、そのまま俺の家に来てくれた。
もちろん、お見舞い品の肉まんも忘れずに。
あー、本当千鶴は気が利く。
この優しさにいつも救われんだよなぁ……
「弥生くんが風邪なんて……珍しい事もあるんだね」
「そーなんだよ、俺自身びっくりでさ」
「本当不思議だよ、馬鹿は風邪ひかないって言うのにね」
……………………え?
あれ千鶴?
え、ちょっと違くないですかね?
その言葉、彼氏に言う言葉じゃないですよね?
つーか何よりも、そんな煌びやかな笑顔で言う言葉じゃないですよねっ!?
「ふふ、冗談だよ?」
そんな千鶴に、だよね、冗談だよねと返すも俺の口からは渇いた笑みしか出てこなかった。
fin..
って、ちょっとー!!!!
腹黒彼女こわっ!!
途中まで超よかったじゃん!!
優しかったじゃん!?
なんでいきなりなわけ!!
優しい分恐ろしいわボケェ!!
だけどこのたまに見せる腹黒さがまたいいんだよ、ちくしょー!←
<タイプ2>
[ツンデレ姉さん
亜祐]
『亜祐〜、風邪ひいたぁ』
少し甘えたメールを彼女に送ってみた。
さぁて、亜祐からどんな心配メールが返ってくるのか……楽しみだ。
「お、返信きた」
数分経って返ってきたメール。
俺はダルい事なんか忘れる勢いで携帯を開いた。
しかし、そこにあった文に俺は肩を落とすしかなかった。
『メールする暇あるなら早く寝なさい、ではお大事に』
あれ、亜祐って俺の彼女だよね?
彼女ってもっとこぉ……
心配とかしてくれるもんじゃなかったっけか?
これじゃ母親の方が心配してくれる度合い高いじゃねーかよぉぉ!!
ふん、もういいもん!!
俺寝るから!!
亜祐からメールきたってもう返してやんないんだから!!
今さら後悔したって遅いんだからね!!
と、女の子口調で
不貞腐れながら俺は眠りについた。
――午後5時
「あー、よく寝たぁ……」
目を覚ました俺は、期待なんて…してないんだからね! なんて気持ち悪い事を思いながら携帯を開いた。
が、やはり彼女である亜祐からのメールも電話もなかった模様で俺は若干立ち直れないでいた。
「彼女彼女って……居てもこんなもんなのか…………」
はぁ、と溜め息をつき俺はもう一眠りした。
俗に言う
不貞二度寝だ。←
それから数時間後、俺は意識を取り戻すと……
あれ?
ヤバイ、俺…死期が近いかも……
俺のベッドにうつ伏せになって寝てる亜祐が見えるんだが……
え、なんで?
うわ、俺病的にヤバくね?
恐る恐る幻覚かもしれない亜祐に手を伸ばすと、見事に温もりを感じ取ることが出来た。
「ほんもんじゃん……」
幻覚じゃなかった本物の亜祐がいる、その事実に俺は口元の緩みを抑える事が出来なかった。
fin..
イヤッホォォーウ!!!!
ツンデレ最高!!
ヤバイいい!!
あー、ツ゛ン゛テ゛レ゛いいー!!!!
<タイプ3>
[天然ドM
恵理]
『やよくん、大丈夫(..`)
後ですぐお見舞い行くからね!!
何か食べたいものある? 買って行くよ♪』
俺が今日は風邪で休むとメールをした3分後に返ってきた内容。
くそ、可愛い奴め……
恵理のことを思い浮かべながら、とりあえず大好物の肉まんを注文しておいた。
そして恵理が来るまでの間、睡眠を取る事にした。
――プルルル
何時間か寝た俺は、鳴っている携帯を手に取った。
もちろん相手は恋人の恵理。
「もしもし恵理?」
「やよくん、寝てた?」
「あぁ、でも大丈夫」
「睡眠の邪魔してごめんね!
今から学校出るからって伝えようと思っただけなんだけど……」
少し落ち込んだ様子の恵理に待ってるよ、と言うとパァっと笑顔に変わったのが分かるくらい声色が明るくなり、うん! と頷いた。
本当に可愛い奴だなぁ。
それから電話を切り数十分で恵理がやってきた。
「やよくん! 肉まんいっぱい買ってきたよ!」
しかし、恵理は常識が理解出来ないのか肉まんを10個も買って来てくれたようで……
俺は怒鳴るしかなかった。
「なぜに肉まんをこんなに買ってきたの!?
いくら俺の大好物が肉まんだからって、さすがに10個も食えるか!
このお馬鹿!」
だけども俺は忘れていたんだ。
俺の彼女が、
ドMだった事を…………
「やよくん! 元気になったね! よし、次もまた肉まんいっぱい買ってくるぞ♪」
いや、もう、なんつーの?
ドMつーか、あれだよね?
ただのバカだよね?
笑顔で俺の罵声を受けている恵理を見ながら、俺は10個ある肉まんをなんとか平らげていった。
fin..
ドM通り越してバカじゃーん!!
つーか、肉まん10個もいらないっつってんのに次もいっぱい買ってくるって・・・・・・
ドM、恐ろしい!!!!
<タイプ4>
[元気な少年系ガール
綾奈]
「やーよーい! 生きてる?」
「ちょ、綾奈……俺病人なんだよ?もっと労って!」
元気一杯な綾奈は学校から全速力でうちまで走ってきたようで、うっすらと額に汗が見えた。
しかしまぁ元気過ぎるつーか、今は頭に響くのでもう少し元気さを落としていただきたい。←
「あ、お見舞いの品とかないんだけど・・・」
「あぁ、大丈夫。綾奈には期待なんてしてないから」
笑いながら綾奈にそう告げると、ひどっ!と笑顔で返ってきた。
まぁ、でもお見舞い品の期待はしてなかったけど……俺は今十分に満たされてる。
綾奈の額に汗があっただけでも嬉しかったけど、やっぱあれだ。
綾奈の笑顔は最高だな、うん。
変に
洒落たりしてないから、飾らない笑顔が他の女と比べもんにならない。
………………多少がさつだけども←
「まぁ、そこがお前の良いとこだよな」
「へ?」
俺は走ったせいか乱れている綾奈の髪を更にくしゃくしゃと撫で回した。
fin..
あれ、なんかよくない?
ちょっと萌えたぞ?
少年系ガール……
いいかもな、うん……←
<タイプ5>
[ほんわか癒し系
真紀]
「はい、出来たよ!」
美味しくなかったらごめんね、なんて言いながら運ばれてきたお粥を目にした俺は目を輝かせた。
見た目は最高潮に美味そうで、香りもグッド!
これで不味いわけがないと思い、頂きますと真紀に手を合わせお粥を口にする。
「美味しい……かな?」
不安そうに俺の顔を覗いてくる真紀に、俺は気が付けば抱き付いていた。
「ヤッバイくらい美味いっす!」
そんな俺の背中に手を回し、よかったと笑みをくれた真紀。
制服姿にエプロンの真実は、もう鼻血が出るんじゃないかってくらいに可愛くて……
俺はそんな真紀に風邪なんか吹っ飛ぶくらいに癒された。
fin..
なんか雑な終わり方だが……(笑)
やっぱ癒し系はいいね!
最高すぎるね!!
王道最高だよね!!!!
<タイプ6>
[楽しい友達タイプ
聡里]
今日学校を休むとメールをしようとした瞬間、彼女から電話が掛かってきた。
ある意味以心伝心?
とか思い笑みを浮かべながら電話にでる俺。
「もし?」
「はよー、弥生起きてた?」
「おうよ、つーか悪い。今日学校休むわ」
「……サボりか」
「サボりじゃねーよ(笑) 熱あんだよ」
「熱何度?」
「37度後半さね、心配いらん」
「んー、了解! んま、とりあえず学校終わったら行くから」
「あいよー」
と、まぁ電話を終えた俺は眠りにつこうとしたが……
「なかなか眠れん」
んー…どうした事か……
そんな悩んでいる俺を救うかのように携帯にメールが届いた。
送信者は先ほどの電話の相手である聡里。
どうしたのかとメールを見てみると、
『家居ても暇そうだし、寝るまでメールしてよー♪』
あー、まじ以心伝心?
それから何通かメールをして、俺はいつの間にか眠りについていたようで次に目を開いたら、そこには聡里がいた。
「あれ……聡里?」
「あ、起きた。おはよ」
今何時? と聞くともう5時だよ、と時計を見せられた。
「あ、そーだ……ほら♪」
いきなり時計を俺に渡した聡里は、鞄の中を探りビニール袋を差し出してきた。
「なに、これ?」
そう尋ねた俺に笑みを見せるだけの聡里。
俺は時計を起き、ビニール袋を受け取り中を確認した。
「うわぁお、肉まんじゃん!」
「弥生好きだからさ」
「聡里、愛してる!」
俺は大好きな肉まんを放り投げてまで聡里に抱き付いた。
が…………
「食べ物を投げない!」
と一喝されてしまった。←
しかしまぁ、何でもわかってくれてる聡里を肉まんより愛してるのは事実だ。
fin..
友達タイプもいいじゃねーか!!
なんか軽いノリがいい!!
俺、今超幸せだわヾ(▽`.*←
「おーい、弥生ー。愛しのダーリンが迎えに来ましたよー」
「誰が愛しのダーリンじゃあ!!」
って……
あれ? 俺、いつの間にか寝てたんだな……
「はは、おはよ弥生」
「おま、最悪な起こし方すんなや」
「愛だよ、愛」
クスクスと笑いながら言う悠河を見ながら、俺も気持ちわりぃよ、と笑い返す。
「よし、部活行って肉まん買って貰うぞ!」
「あ、残念ながら今日先輩休みらしーぞ」
「え、うっそぉぉおお!!」
俺は先ほどの妄想で得た幸せを、肉まんが食べられない現実にいとも簡単に打ち
拉がれたのであった。
End
write 09/01/30
edit 10/11/20