頑張る理由
いろんな事があったなって笑って言えるのは、今がとても幸せだからなんだと思う。
「
小夜ー、ちょっと降りて来て」
そんな事をふと考えていると、下から声がした。
「んー? 何?」
「見てコレ、懐かしくない?」
リビングに降りると、景が何枚かの写真を机に広げて見ていた。
景の隣に座るとはい、と写真を渡された。
「これ…大学のサークルで行った旅行の時の写真?」
「そ! この時の小夜可愛かったよなー」
「ほー、て言いますと今は可愛くないと言う事でしょうか?」
「え、否、そうじゃなくて……!!」
戸惑う景を見て、冗談だってと笑いを飛ばす。
この時期、まだ景の恋人でなかった自分。
この時の私の内にあったのは
諦めと辛苦。
そんな私が今こうして、彼を側で感じられる事が当たり前になってるだなんて想像出来ただろうか?
今の幸せがあるのは、あの時の頑張りがあってこそだと思う。
だから、私はこれからも頑張り続けるんだ。
今は想像も付かないような、幸せで明るい未来を手に入れる為に。
私は、すぐ隣にいる彼の幸せを願い、聞こえない程小さな声で言葉を届けた。
「毎日が幸せだよ」
“俺の幸せは小夜の幸せだから”
そう言ってくれた、景の言葉を思い返して。
End
write 10/03/01